祖父の土地で、父と一緒に。奈良ベリーガーデンをつくった理由

幼い頃、祖父が育てたイチゴを口にしたとき、「果物って、こんなに香りがするものなんだ」と思いました。

スーパーで買うものとはまったく違う、甘さと香りが混ざり合ったあの感覚。子どもながらに「手間をかけてつくった果物には、人の心を動かす力がある」とはっきり感じた記憶です。それが、奈良ベリーガーデンをつくろうと思ったいちばんの理由かもしれません。


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長野の小さな農園で、もうひとつの原体験

小学生のころ、家族旅行で長野を訪れたときのことです。

道沿いに手書きの看板が出ていました。「ブルーベリー狩り」。個人の方が自宅の庭先でやっているような、本当に小さな農園でした。観光地でもなんでもない、ただの畑。それでも、木になっている実をそのまま口に入れた瞬間、「こんなにおいしいんだ」と思いました。

楽しかった。ただそれだけなのですが、その感覚がずっと心に残っていました。

祖父のイチゴと、長野の小さなブルーベリー農園。ふたつの体験が、「いつか自分も、こういう場所をつくりたい」という気持ちの種になっていたのだと、今になって思います。


祖父が耕した土地で、農業を続けたかった

農園の場所を奈良県大和郡山市にしたのには、理由があります。

ここは、祖父がかつて農業をしていた土地です。

祖父が亡くなったあと、農地は使われないまま残っていました。売ることもできた。でも、どこかでずっと「この土地でなにかをしたい」という気持ちが消えませんでした。祖父の記憶が染み込んでいるような気がして、手放せなかったのかもしれません。

「農業をやろう」と決めたとき、迷わずこの場所を選びました。

祖父が耕した土の上で、今度は私が果物を育てる。それはなんとなく、自然なことに思えました。


父と一緒にやっている、大切な理由

農園を始めるにあたって、父に声をかけました。

父は賑やかな人です。作業をしながら、昔のこと、地域のこと、祖父のことをいろいろと話してくれます。静かに黙々と——という感じではまったくない。正直、最初は「農業なんだから、もう少し集中して……」と思わないでもありませんでした。

でも今は、その賑やかさがありがたいと思っています。

農業は、特に立ち上げの時期は、うまくいかないことの連続です。思った通りにならない、計画が狂う。そういうとき、父が話しかけてくれると「まあ、なんとかなるか」と思えます。

父が祖父の話をしてくれることも多い。どんな人だったか、どんな農業をしていたか。直接は知らないことを、父の言葉を通して少しずつ知っていく感覚が、この農園での時間をより豊かにしてくれています。


奈良ベリーガーデンが届けたいもの

大きな農園を目指しているわけではありません。

「完熟のブルーベリーを、木の下で食べてもらえる場所にしたい」——それが、いちばんのビジョンです。

流通に乗るブルーベリーは、傷まないように完熟前に収穫されます。農園で摘むものは違います。真っ黒に熟れた実を自分で選んで、その場で口に入れる。長野の庭先で感じたような「こんなにおいしいんだ」という瞬間を、奈良で届けたいと思っています。

祖父が大切にしていた土地で、父と一緒に、少しずつ。

まだ開園前の農園です。でも、「あの農園に行ったな」といつか思い出してもらえるような場所を、これからつくっていきます。完成した農園をお見せできる日を、楽しみにしていてください。


SNSでも農園の日常を発信しています。Instagramフォローで、開園準備の様子をいち早くご覧いただけます。

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